トビイロヤンマ

絶滅危惧1B類 EN

  • 【科】ヤンマ科
  • 【属】トビイロヤンマ属
  • 【和名】トビイロヤンマ
  • 【学名】Anaciaeschna jaspidea

南西諸島、沖縄本島以南に生息するトンボ。日中は抽水植物の中で、じっと陽が落ちるの待っている。そして陽が落ちてくると、休耕田や畑の上に集まり、集団で旋回し飛び続ける。コバルトブルーの複眼がとても綺麗で、全身トビイロ(鳶色)をしていることからこの名がついた。沖縄本島では4月から11月ころまで、八重山諸島ではほぼ1年中見られ。

オス ♂

トビイロヤンマ

2016/9/4 - SONY α55 SAL100M28 100mm F2.8Macro 100mm 1/160 F2.8 ISO 200 LrC

トビイロヤンマ

2016/9/4 - SONY α55 SAL100M28 100mm F2.8Macro 100mm 1/160 F3.2 ISO 200 LrC

メス ♀

トビイロヤンマ

2019/5/26 - SONY α55 SAL100M28 100mm F2.8Macro 100mm 1/125 F2.8 ISO 800 FL+0.0 LrC

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観 察 記

2019年5月26日 暗闇の撮影

2年半ぶりのやんばるだ。やんばるでのトンボ撮影では、夕方最後に撮影する種になっている。このトンボは陽が完全に沈まないと乱舞しない。田んぼの片隅で陽が落ちるのを待ち、水平線に太陽が消え、時計を見ると19時10分。どこからともなく出てきた。暗やみの中をちょこまかと飛ぶヤンマたち。ほとんどがトビイロと思われる。完全に陽が沈み、夜といってもいい状況下でなんとか捕獲する。固体に傷をつけないよう慎重に扱う。捕獲した個体をうまく茎にとめてセットしていたカメラで撮影。逃げないよう息を潜めての撮影する。前回は車のライトを当ててフラッシュ無しで撮影したがうまくいかず、今回は最初からスローシャッター撮影。自然光ではないため複眼がフラッシュの光で写真のようになってしまう。しかし、久しぶりにこのヤンマに出会えてすごく嬉しかった。こんヤンマが飛び交う、このすばらしい環境がいつまでもあることを節に願うばかりだ。

観察記

2016年9月4日 おばーの一言

昨日はメスしか撮影できなかったので、今日はどうしてもオスを撮影したかった。生息場所も行動パターンもわかってきたので、まずは他の種から撮影をスタート。沖縄トンボ三昧撮影会2日目の始まりである。そして16時にトビイロ産地に到着。戦闘開始だ、今回はとまっているのを探すため、昨日飛び立った草地を丹念に探索するがまったく気配なし。まあまだ時間は十分にある。そして探すこと30分、草が生い茂る水辺で、草の中から出たり入ったりするオスを発見。まだ明るいので撮影がしやすい。したがって、飛翔撮影なんかしないで即網でゲット。そしてほどなく演出撮影開始。今回は綺麗なオスの写真が撮れた。散歩しているおばーが、何をしているのか聞いてくる。トンボ撮影と聞いてびっくりしていた。そしておばーが、そこはよくハブが出るよとの一言を放つ。滝汗が冷や汗に変わっていった。ようやく沖縄にきて一番の目的が達成できた。帰りの高速で那覇に近づくと花火が上がっている。なんという演出、夜は息子と祝杯をあげたのである。

観察記

2016年9月3日 クールダウン

このトンボに会いたくて何度夢見たことか、そして、9年ぶりに”やんばる”へ行く機会ができた。しかし、生息場所へ行ったからと行ってトビイロに出会えるかはわからない。それほど生息場所が狭められてしまったのである。この時期の沖縄は台風が発生しやすいので、天気図とにらめっこの日々が続いた。出発当日、嫌な予感がした。沖縄の真横で台風12号が発生したのである。超がっかりモード突入、週間天気予報はすべて雨くもり、オールキャンセルしようかと頭がよぎる。しかし、同行する息子は晴れ男。息子の言葉に励まされ予定通り沖縄へむかう。すると、この12号はぎりぎり本島を迂回し北上していった。那覇空港へ到着するとドピーカン。思わず息子とガッツポーズ。しかし、ここからが闘いである。この沖縄の暑さは関東と違い、海が近いせいか独特な湿度感がある。したがって長時間のトンボ観察は熱中症になりやすいので要注意だ。一番暑い日中は、トンボ観察を中断し海でシュノーケリングを楽しむことにした。ほてった身体がクールダウンされた。午後15時ころ現地に戻りトンボ探索開始。しかし、絶滅危惧種の詳細な生息場所を知らずに探すのはすごく難しい。それはこのトンボに限ったことではないのだが、陽が暮れてくると少しずつあせってくる。そして、流れのある場所で、アカナガあたりを探しているといきなり目の前の草の中からメスが現れた。それは図鑑に穴があくほど見ているオヤジにはすぐにわかった。でも逃げられてしまい、撮影できず再探索。すると今度は交尾態が出てきて飛んでいってしまった。なんということだ、焦燥感がただよい、暑さも限界にたっし、体のエナジーもあと数パーセント状態。時間は18時半、きれいな夕日だけがむなしく心に刻まれ始めた頃、息子の無線から「空にたくさんのヤンマが飛んでいる」と一報がはいる。そして空を見上げると無数のヤンマが群れて飛んでいる。こんな光景は千葉のネアカ以来だ。この中に、あきらかにトビイロとわかる固体がいる。そして息子が網で1匹だけゲットしてくれた。憧れのトビイロヤンマだ。しかし、オスではなくメスだった。19時を過ぎ、あたりも暗くなりどうやって演出撮影をしようか。結局思いついたのが車のライトを草むらに照らし、それで撮影することにした。でもカメラの設定が難しく、あたふたしているうちに逃げられてしまい、残念ながら証拠写真しか撮れなかった。沖縄トンボ三昧撮影会はなんと、早朝8時から、夜19時半までかかった。途中熱中症にならずに済んだのは海と沖縄そば(ほどよい塩分)だった。海で2時間ほどシュノーケルを楽しんだのが、体がクールダウンされてよかったのだと思う。

観察記